BTS(214)

(BTS213からの続き)


サブレ:花押の歴史的背景の説明からお願いします。

セフレ:花押の起源は古代中国(紀元前3世紀頃の先秦の時代あたり)なんだよ。

カブレ:中国発祥なんだな。

セフレ:そう。元々は、手紙などの文書に自分のモノであることを示すために名前を書いていたのが、図案化・文様化していき、花押が誕生したと言われているよ。

サブレ:ということは、漢字がデザイン化されたモノなんだね。

セフレ:そう。漢字の一部であったり、草書体であったり、氏名の漢字の一部を組み合わせて図案化したり、時代によっていろいろな作成方法があるみたいだよ。

フレア:花押作成のルールとかあるの?

セフレ:現在の日本には、明確なルールは無いけど、描き方によって「草名体」「二合体」「一字体」「別用体」「明朝体」の5種類に区別されているよ。

フレア:そうなんだ。

セフレ:日本では、10世紀ころから使用され始め、戦国時代になると、武士による文書発簡が多くなり、武家用と呼ばれる武士特有の花押の形状・署記方法が生まれたんだよ。ちなみに元々使っていた貴族による花押は公家用と呼ばれているよ。

チフレ:日本でも文書を書いた人であることを証明するために使われていたんだね。

セフレ:江戸時代には、一般庶民も含め盛んに花押が使われていたと言われていて、この頃には印鑑も広く普及するようになったんだよ。

チフレ:日本は寺子屋などがあって元々識字率が高かったから、一般庶民に花押が普及したのは理解できるよね。

カブレ:更に、江戸時代には遊び心が多かったから、いろんな意味での花押が造られたんだと思うぞ。

セフレ:江戸時代では、花押と印鑑の両方が使われていて、印鑑は、日常生活における契約や取引での権威の象徴として、花押は、個人の意思表示や文書の正当性を示す手段として使い分けられていたみたいだよ。

カブレ:花押の意味は、分かったので、やっと本題に入って、花押には法的効力があるのか?

セフレ:結論として、花押には法的効力が無いよ。

フレア:そうなの?

カブレ:やはりな。

サブレ:何がダメなの?

チフレ:自署や署名の条件を満たしていないからでしょ。

セフレ:そうだね。チフレの言うとおり、自署や署名では「氏名を書き記す」となっているので、花押は氏名の一部をデザイン化したモノなので、氏名には該当しないんだよ。

フレア:一般的にはそうかもしれないけど、その花押を長年使用してきているし、個人のモノとして特定されているのであれば法的効力があるのでは?

セフレ:ちょっと長くなるけど、自筆証書遺言の有効性の裁判において、2016年6月3日の最高裁において、「遺言書に花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法第968条第1項の押印の要件を満たさない」と判断されたんだよ。

サブレ:民法第968条第1項って、何が書いてあるの?

セフレ:民法第968条第1項は「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とあり、次の第2項には「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」と書かれているよ。

テブレ:で?

セフレ:要するに、この遺言書の判決から、自分で書くべき書類の場合には、偽造や変造されることを防止する目的から、例え自分で書いたとしても、氏名に当たらない花押にはその効力が無いということが一般的に解釈されるようになったんだよ。

カブレ:セフレ、ありがとう。分かったよ。

チフレ:じゃ次に、花押と同じようなモノで、押字(おうじ)、落款印(らっかんいん)、雅号(がごう)などもあるみたいだけど、違いは何?

セフレ:それは次回に。


(BTS215につづく)

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